自主練

リフティングのポイントと練習メニュー

リフティングはサッカーをやる上でどうしても切り離せないものですので、息子もやっていますが、一度取り組み方を含め整理したいと思います。

リフティングの考え方

まず、よく聞くこととして、

  • リフティングが上手いからといってサッカーが上手いわけではない
  • でも、サッカーが上手い人にリフティングが下手な人はいない

ということがあるのですが、では、リフティングをどのように取り組めば良いのでしょうか?ということになります。色々な人の意見に全て耳を貸す必要はないと思いますが、それでも両者に言い分があるわけで、上手く良いとこどりをすれば良いというのが私の考え方なので、つまり、

  • リフティングをそこまで頑張る必要はないものの、下手ではダメで一定の基準をクリアする必要がある

というスタンスでいます笑 例えばセレクションではリフティングが種目に含まれることもあります。もちろん、リフティングだけで合否が決まるわけではありませんが、最悪足切りラインということもありますので、さすがにそれはもったいないので一定の基準はクリアしておく必要があると思います。実際に川崎フロンターレのエリートクラスと同様の指導をしているとされるエリートクリニックでもリフティングは毎回のメニューの一つとして組み込まれており、しっかり練習しておくようにとも言われていましたので、フロンターレのアカデミーとしても重要な1要素だと考えているのでしょう。

 

リフティングの目的や必要なレベル

リフティングは一定の基準をクリアする必要があるとはいえ、そもそもなぜリフティングをやるのでしょうか?もう少し私なりに整理してみましたが、

  1. トラップやボールコントロールの技術向上のため
  2. 軸足でのバランス強化や体の使い方、動きの向上のため
  3. ズレた際にどの部位でリフティングすべきかの判断力向上のため
  4. 1.〜3.の向上のために一人で手軽に取り組めるので合理的
  5. 目標が回数のクリア等分かりやすいため自己達成感が得られやすい
  6. セレクション等で必要になるためやっておいた方が良い
  7. サッカーが上手い人は皆リフティングが上手いのでやっておいた方が良い

というように様々な観点があると思いますが、最も重要なことは、実際のサッカーにどのように繋げるかということだと思います。その意味では、リフティングがあまり意味がないという意見の多くは、

  • 試合でリフティングと同じような状況はない
  • 状況判断がないのでサッカーが上手くならない
  • 視線が下を向いてしまうので視野が狭いことが癖になる

というようなものだと理解していますが、それであれば、リフティング練習をする際にはこのデメリットも意識しつつ取り組めば良いかと思います。ですので、1回あたりの時間はそんなにかけずに少しずつコツコツとやるということかと思います。ちなみに、息子の場合は5分程度しかやっていません笑

では、どの程度リフティングができれば一定の基準を超えるレベルと言えるのでしょうか?正直、リフリティングが上手いか下手かは、見たら大体分かると思いますので、つまりそのレベルが目標ということになります笑 ポイントは、

  • ボールを落とさないように扱える
  • 身体の色々な部位で扱える

ということだと思いますが、回数を設定した方がわかりやすいため100回を目標にすれば良いと思います。それ以上は、やる気に応じてやれば良いかと思いますが、おそらくはリフティングよりやるべき練習があるかと思いますのでそちらに回すのが良いでしょう。たまに1000回できるという人もいますが、まあそれはボールを落とさないように扱えるという意味を回数にしたら1000回と設定した人という意味だと思われるのと、単に1000回というと響きとしてすごいのと分かりやすくキリが良いので、というレベルでしょう。実際は100回もできれば十分に落とさないレベル、リフティングができると思われるレベルだと感じます。さらに色々な部位で自由にリフティングできているとかなり上手いという印象になるでしょう。

 

リフティングの練習メニューとステップアップ

では、リフティングを練習するにあたり、どのようなメニューで取り組むかというと、利き足で→反対足で→左右フリーでというようにやると良いと思います。(かなり時間がかかる話ですので気長にコツコツと少しずつやることが最大のポイントです)それぞれ100回を目標とします。それぞれある程度(例えば30〜50回)出来るようになったら他のステップにも並行してチャレンジしてみても良いと思います。

 

利き足で:

  1. 利き足インステップ
  2. 利き足インサイド
  3. 利き足アウトサイド
  4. 利き足ちょんちょん
  5. 利き足移動
  6. 1.〜5.をランダムに+利き足太腿を交互に
  7. 6をランダムに+ヘディングを交互に
  8. 7.をランダムに+胸を交互に
  9. 利き足でフリーで
1.利き足インステップ

最初のハードルがこれでしょう。最初は間違いなく10回もできません。私の感覚では2、3回程度が限界だと思います。それをまずは10回を目標にやります。インステップに限らず足のどの部位でリフティングをやっても意識するべきことは、下記となります。

  • ボールの真下を蹴る(ボールの前後左右を蹴ることが多いです)
  • 回転がかからないように気を付ける
  • 足の当たる位置があっているか意識する(インステップの場合、インステップに当たっていないということが多いです)
  • ボールの出す位置は利き足の前
  • もしボールが前後左右の意図していないところに動く場合には軸足を動かしてステップ(蹴り足を伸ばすだけではその後続かない)
  • 高く上げすぎない(落ちてきたボールのコントロールが難しいので足で蹴る場合には頭の高さを超えないようにした方が良いです)
  • 後ろ体重にならないように(次の動きが悪くなります)

10回くらい出来るようになると、徐々に回数が増えてきます。20回、30回と増えていき壁に当たり、50回を超えてくると、調子が良いと100回出来るというレベルになり、最終的には通常で100回できて調子が悪いと数十回で落としてしまうというレベルになり、この辺がゴールということになるでしょう。

2.利き足インサイド

インステップでリフティングできるようになると次はインサイドでリフティングします。インステップよりも難しいですが、インサイドの面の作り方のコツを掴めれば割とすぐに出来るようになると思います。インサイドと言ってもインサイドパスで蹴る時と同じ面でボールの真下を捉えようとすると、足をかなり上まで上げる必要がありますしボールの高さも高くなるため結構難しく感じると思いますので、インサイドというよりインフロント気味で蹴る感覚の方が上手くいくと思います。(この辺りは個人差があると思いますので練習をしながら感覚を掴んでいく形になります)

3.利き足アウトサイド

アウトサイドはインサイドよりも難しいですが、結構試合でも使うような身体の動きになりますので、重要だと思います。アウトサイドというと自分の体の外側にボールを出しそうですが、イメージとしてはインステップやインサイドと同様にボールを上げて足を股関節から内側にひねることでアウトサイドで面を作るイメージだと思います。実際にドリブルをしたり、アウトサイドでトラップをしたりする時にも足を内側にひねるような動きをすると思いますが、まさにそのようなイメージになります。

4.利き足ちょんちょん

ちょんちょんリフティングはインステップよりも先に出来てしまう人もいるかもしれませんが、最初にインステップでのリフティングをやると今度はちょんちょんリフティングができないということもあり得ます。ちょんちょんリフティングもより小さなボールタッチや軸足の強化はしやすいと思いますのでできるようになった方が良いです。(回数をやるとかなり疲れます)

5.利き足移動

利き足でのリフティングで前に移動します。例えば10m先の目標までリフティングしながら歩いて行き、リフティングしながら方向を変え、リフティングしながら戻ってくるというような形です。後ろに後ろに体重がかかるようなリフティングをすると前には歩けませんのでその辺りのチェックにもなります。試合中にリフティングしながら前に歩くことはないものの、基本的にはトラップをしたりコントロールをする際は足元だけではなく自分の行きたい方向へコントロールするということが多いので、そのためにも歩けるようになっていると良いです。さらに、前だけでなく後ろにも移動できると良いです。サッカーでは前だけでなく後ろに移動する動きは非常に多いですので、大変重要です。かなり難しいですが、ぜひチャレンジしましょう。

6.1.〜5.をランダムに+利き足太腿を交互に

1.〜5.までで利き足である程度自由にリフティングが出来るようになっていますので、さらに応用をして、より体の使い方という点とさらに色々な部位でリフティングできるようにという点に移ります。1.〜5.でやった部位のどこでも良いのでランダムに一つ選び、その次には利き足の太腿でリフティングをする、その次にはまた1.〜5.のどれかでリフティングして、次に太腿でリフティングと交互にやります。交互にやると分かりますが、太腿で上にコントロールするというよりやや体の前に太腿でコントロールした方がスムーズに次のリフティングに移れます。太腿だけでリフティングをする場合にはかなり太腿を上に上げると言いますか地面と水平くらいに太腿を上げる必要があるのですが、それよりも地面と斜めという感覚になると思います。また、太腿と交互にやる際には1.〜5.のどれを選んでも良いですが、どれかに偏らないように気をつけます。(例えばインステップが一番上手いからと言ってインステップばかりやらないようにしましょう)ただし、落としそうになったら、インステップでやるとか、状況により判断をしてとにかく落とさないということに拘りつつ、リフティングを向上させていくことが重要です。最悪、2回に一回は太腿ということにすら拘らずに、とにかく落とさないことが重要です。あくまで意識的に太腿を多めに使うということで太腿でのリフティング能力向上+太腿でリフティングできる位置へのボールコントロールの向上という目的であり、2回に1回という点が最重要という意味ではありません。

7.6をランダムに+ヘディングを交互に

これも6.同様の考え方で、6.では太腿でしたが、今度はヘディングを追加します。つまり、2回に1回ヘディングをするというイメージですね。これも落とさないことを最優先とし、たとえ2回に1回ヘディングでリフティングができなくても良いので続けるようにしましょう。

8.7.をランダムに+胸を交互に

これも6.や7.と同様で、今度は今度は胸トラップを入れます。この胸トラップは特に小さい子はかなり苦手としている人が多いのではないでしょうか。(息子も例外なく苦手です笑)おそらく最初は胸でトラップする感覚が掴めないと思います。どの辺にどの角度でどの程度吸収しながら当てるかという感覚を掴んでいければ実際の胸トラップでもトラップでも活きてくると思います。

9.利き足でフリーで

利き足の最後はどの部位でリフティングしても良いので、部位の偏りがなく、落とさずに続けられたら良いです。次にどの部位でやるかという決定とそこへのコントロール、ズレた際の状況判断とリカバリーというような点を意識して、利き足の最後のステップとなります。

 

反対足で:

利き足同様に1.〜9.を実施(利き足を反対足に置き換える)

 

利き足が十分にできるようになったら反対足もチャレンジしてみましょう。きっと最初は難しいですが、利き足である程度できるようになっているため、利き足と同じようにやるということを意識しながらやってみると徐々にできるようになっていきます。実際の試合では特にトラップやパスアンドコントロールという点では反対足を使うことも多い(というか使えると有利)でしょうから、あくまでも利き足がメインなので利き足を優先的にやるべきですが、逆足が使えるようになるとプレースピードがかなり上がりますので、利き足でのリフティングができるようになった後には取り組むべきです。

 

左右フリーで:

  • ヘディングのみ(頭に乗せるというのも含む)
  • 両足太腿のみで
  • 全てフリーで
  • 両足で歩く
  • アオアシの首振り
  • ボールを頭より高く上げる(インステップ、インサイド、アウトサイド)
  • ボールを頭より高く上げる、膝より低く上げるを交互に(トラップするイメージ)などなど

右も左もできるようになれば、最後はこれまでにあまりやってこなかったヘディングや太腿のみというメニューや両足を使って自由にリフティングしてみると良いと思います。ただ、ヘディングのみで100回というのはなかなか厳しい気もしますので、ヘディングでもリフティングができるなという程度で良いと思います。また、頭の上に乗せて落とさずにキープできるかというのもやってみると良いです。(ヘディングの回数はもう各自で自由に決めましょう笑)ここまでくると、右足でも左足でも自由に狙ったところにリフティングできるコントロールが身につき、たとえ、コントロールをミスしてもリカバリーできる動きも合わせて身についているでしょうし、普通に歩くように歩きながらリフティングすることもできるようになると思いますので、最後の仕上げとして練習してみると良いです。さらにアオアシで出てくるような高くボールを蹴り上げて首を振って、というようなメニューを追加しても良いと思います。

私が特に良いと思うのは、ボールを頭より高く上げてリフティングするというものです。これまでのリフティングではヘディング等をのぞいて基本的にはボールは頭より高く上げないようにリフティングするようにしていますが、これらが出来るようになった後には、ボールを高く上げてリフティングするということがリフティングをよりサッカーで活かすためには重要だと思います。高く上げてリフティングしたり、高く上げた後に低く上げるというのを交互にやるとトラップの練習にもなり良いと思っています。いずれにしても、リフティングのためのリフティングではなく、よりサッカーに生きるような工夫をしながら自主練等での時間を有効に使えると良いですね。

サッカーをいつから始めたかにもよりますが、例えば小学生の低学年よりサッカーを始めた場合には、小学校を卒業するまでに全てクリアするという目標にすると良いと思います。繰り返しとなりますが、リフティングができることが目標ではなく、あくまでもサッカー上達が目標でしょうから、リフティングばかりするというよりも、短時間で集中して取り組みコツコツとやっていくということが重要だと思います。

 

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